ジャズの黒本とは何か?その使い方や1と2の違いもやさしく解説!

ジャズ演奏を始める時に必要な楽譜の1つが「ジャズ・スタンダード・バイブル」(通称は黒本)です。

今回はその黒本について、どういった物なのか?初心者は購入すべきか?またどんな使い方をするのか、詳しく解説していこうと思います。

ジャズの黒本とは何か?その使い方や1と2の違いもやさしく解説!

今のジャズプレイヤーの中で一番多く使用されているのが「ジャズ・スタンダード・バイブル(以下、黒本」」です。

ジャムセッションに参加するにはある程度の演奏力も必要ですが、それと同時に参加メンバー共通の楽譜である「黒本」が必要となってきます。

ではその黒本とはどういった物なのか?1つ1つ詳しく解説していきます。

ジャズの黒本とは何なのか?どういった楽譜なのか?

ジャズの黒本は「ジャズプレイヤー共通の楽譜」である事は先ほどご説明しましたが、では一体どんな楽譜なのか?という事を解説したいと思います。

まず黒本という楽譜は「リード譜」です。リード譜というのは、メロディやコード記号などの基本的な部分だけが書かれた楽譜の事です。

ジャズ黒本の使い方

なのでピアノでしたら、左手はどうやって弾くのかは詳しく書かれていません。リード譜に書かれた「コード記号(Cm7とかF7とか)」を見て自分で判断して弾くわけですね。

担当楽器がベースでしたら、やはりコード記号を見て自分でベースラインを考えて演奏するわけです。

当然ですがソロ(アドリブ)の楽譜はありませんので、メロディ楽器の人はコード記号を見て自分でどのように演奏するのかを考えて演奏します。

そしてリード譜のコード進行に沿って自分でアドリブを組み立てて、2コーラス、3コーラス・・・と自分の気が済むまでソロを取ります。

ピアノの場合は伴奏やイントロもありますから、リード譜のコード進行を見て自分で伴奏やイントロを考えて演奏します。(当たり前ですが、伴奏の仕方は書いてありません。イントロは少数ですが曲によっては書いてあるのもあります。)

ジャズの黒本は初心者でも購入すべきか?

ジャズの黒本はジャムセッションに参加するには必須の楽譜です。4000円近くする楽譜ですが余裕のある人はすぐに購入していいと思います。いずれ必ず必要になりますからね。

ただ私の個人的な意見ですが、初心者さんはあわててすぐに購入しなくてもいいかと思います。

それはなぜかと言うと、リード譜を購入しても初心者さんは「どのように演奏したらいいか分からない」からです。もちろんプロのレッスンに通う場合は、先生が詳しく教えてくれるのでいきなり購入していいかと思いますが・・・。

模範演奏付きの「ハウツー本」を先に購入すべき

しかし独学である程度弾けるようになりたいという場合は、まずは模範演奏のCDが付いたジャズの楽譜がいいかと思います。

模範演奏を何度も繰り返し聴いて、どんな弾き方をするのか、どんなリズムなのか、どんな雰囲気なのか、というのを覚えた方がいいかと思います。

アドリブ演奏もリード譜を見ただけでは、始めのうちは何をどうやったらいいか全く分からないと思いますし。

お勧めのCD付きジャズ楽譜は、例えば以下のような物です。


こちらの楽譜は模範演奏も素晴らしくかなりお勧め出来ますが、正直これでアドリブが出来るようになるかと言えば、それはちょっと難しいかもしれません。(アドリブの解説もあるんですが)

でも「ジャズはどんな風に演奏するのか」というのがよく理解出来るはずですし、練習次第ではアドリブ以外のジャズピアノは弾けるようになると思います。ただピアノ未経験者はちょっとキツイ内容ですね。

始めのうちは同じ曲を徹底的に練習するのがお勧め

黒本は収録曲が200曲以上ありますが、全曲リード譜です。

色々な曲を演奏したいと思う気持ちは凄く分かりますが、始めのうちは色んな曲に手を出さずに、「Fブルース」と「枯葉」という曲だけ徹底的に練習した方が効率がいいです。

この2曲はネットで検索すればコード進行とメロディはすぐに分かりますしね。

これは賛否両論あるかもしれませんが、少なくとも私は1~2年はずっとこの2曲だけやっていました。(たまに気分転換で違う曲もちょっとは練習しましたが。)

なのでこういった事も、初心者さんがすぐに黒本を買わなくていい理由ですね。

ジャズの「黒本」と「黒本2」はどう違うのか?

さて「黒本をそれでも持っておきたい!」という人の為に、また黒本の内容に話を戻します。

この黒本に収録されているのは220曲以上です。殆どの有名なジャズスタンダードナンバーは収録されています。ジャムセッションでやる曲が沢山入っています。

そして黒本には「普通の黒本」と「黒本2」があるんですが、初心者さんが購入すべきなのは「普通の黒本(1)」です。1とは書いてありませんが、2があるので「黒本1」と呼ぶ人も多いんです。

私が持っている「黒本1」ですと、サッチモの演奏で有名な「WHAT A WONDERFUL WORLD」とか、エロールガーナーの「Misty」、ビルエバンスの演奏で有名な「I LOVES YOU, PORGY」などが収録されていません。

個人的に好きなラテン系の「BESAME MUCHO(ベサメ・ムーチョ)」や、ボサノバの名曲「DESAFINADO(ディサフィナ―ド)」も入っていなかったので残念でした。

もちろん黒本2にはこれらの曲が収録されているのですが、あとは難しくて知名度の低いマニアックな曲が多いです。

黒本1には、「枯葉」とか「酒バラ」とか「ビリーズバウンス」とか初心者さんがやる曲、ジャムセッションでやる曲もめちゃくちゃ多いので、繰り返しますが初心者さんが購入すべきなのは「黒本1」です。

ジャズ黒本には、通常サイズとハンディタイプがある

実は黒本には通常のサイズと、小さなハンディタイプがあります。通常サイズを持っている人の方が多いですが、それはハンディタイプが発売される前に購入してしまった人が多いからです。

ハンディタイプは持ち運びも楽ですし、何といってもリングで閉じてあるので何かで楽譜を止めなくても、開いてそのまま使えますので、めちゃくちゃ便利なんです。

(通常タイプは分厚いので何かで止めないと、本が閉じてしまいやすいです。)

ただちょっとハンディタイプは小さいので、人によっては通常タイプより少々見づらい場合もあるかもしれませんね。

ジャズの黒本とは?その使い方と1と2の違い さいごに

いかがでしたでしょうか? 黒本はジャムセッションに参加する上で日本では必須アイテムですが、ご自分の演奏力や環境をよく考えてから購入するのがベストです。

とにかく曲数が多くてあれもこれも手を出したくなってしまう魅力的な楽譜ですが、やはり始めは1~2曲を徹底的に練習するのがお勧めです。

「Fブルース」や「枯葉」である程度アドリブが出来るようになってから、購入しても遅くありません。

ぜひ参考にしてみてくださいね。ではまた!